【世田谷パブリックシアター『熱帯樹』・感想】愛憎渦巻く悲劇を熱演する俳優陣!【ネタバレあり】

どうも!まもちゃです😺

世田谷パブリックシアターに足を運んでまいりました。
まさか近いうちに2回も足を運ぶことになるとは!!!今回は、三島由紀夫作、小川絵梨子演出による『熱帯樹』を観劇する為に行ってまいりました。
今をときめく(?)林遣都さんが出演する本作ですが、箱が小さいためチケットがプレミア価格になる!なんて噂されておりました。実際立ち見の方も沢山!そんな中で、まもちゃとあやちゃ、有難い事になんと、前から4列目!センター!で観劇することができましたー!!ありがとうございます。

最近林遣都さん運が良くて❤Twitterのリツイートキャンペーンで応募した『マクドナルドのシナモンメルツ(林遣都さんCM)』も当たったんですよ!凄く嬉しかったです!😺

 

熱帯樹ストーリーと人物像

三島由紀夫作『熱帯樹』は、ギリシャ悲劇さながらのドラマチックなストーリー。愛憎渦巻く悲劇です。三時間の上演時間で、1959年秋の日の午後から深夜にかけてを描いています。

あらすじ
1959年秋の日の午後から深夜にかけて。資産家の恵三郎は、己の財産を守ることにしか関心がなく、妻・律子を自分の人形のように支配している。律子は夫の前では従順だが、実は莫大な財産を狙い、息子の勇に夫を殺させることを企んでいた。その計画を知った娘の郁子は、愛する兄に母を殺させようとするが……。
いびつな愛に執着する律子と郁子、権力者の父を憎みながら母と妹に翻弄される勇、地位や名誉を手に入れはしたが息子と対立し妻の不貞を疑わぬ恵三郎、そしてそこに同居する恵三郎の従妹で風変わりな信子、それぞれの思いが交錯し……。

熱帯樹 HPより

 

5人家族の愛憎劇 私なりに登場人物について考えてみた。

妹・郁子(岡本玲):愛する兄に母を殺させようとする命短い女の子

不治の病を患っている女の子。お金持ちの家の子なのに、満足な医者すらつけて貰えず、持っているお洋服は3着だけ。母親は、そんな娘とは対照的で派手な衣装に身を包み、自分の自由を楽しむことしか考えていない。
父は娘よりも母を溺愛しており、命短い娘のもとに顔を出す事すら渋る様子で、とてもじゃないが娘を心配しているとは思えない。なんだこの両親は!?
そんな中で、彼女を看病し、安らぎを与えてくれるのは父の従妹・信子と、彼女を「愛している」兄だけ。しかしそんな兄は、母親の愛情に餓えた子で、実の母親に対し「女性」を感じているのだからややこしい。この物語の本筋は、余命短い娘・郁子が自由な母親に対する「女」としての嫉妬や憎悪を表すと同時に、ただただ、子供として家族に大切にされたいと願う寂しさを表したストーリーだと感じました。
兄に対し、「自分の為に母を殺して」と訴える姿や、父親に対し、「母があなたの命を狙っているから気をつけろ」と迫る姿は、まるで自分と母親を天秤にかけて「貴方たちは私と母どっちが好きなの?私と言って!」と必死に縋るような切なさがあって、その姿に胸を抉られます。
歪んでしまった少女は、自分を保つ為小鳥を殺し続け、『生』を感じる。そんな彼女が、最期兄と心中することで心が救われたのでしょうか…?…正直、観劇をしていて心がつらくなりました。岡本さんの狂気を感じさせる演技に息を飲み、心臓が抉られ続けた3時間。圧倒されました。

母・律子(中嶋朋子)莫大な財産を狙い息子に夫を殺させることを企む勇の美しい母

夫とは20歳差。派手好き。子供たちはそっちのけで自分の美貌の為湯水のように金を遣う。よい母になれなかった事を自ら自覚している女性。夫に対しては従順で、完璧な妻を演じる。贅沢三昧で自由に見える反面、夫の為息苦しい程に「完璧な女性」を演じていなくてはならなかった人。自分は夫の人形で本当の愛を知らないのだと嘆く姿は、自由とは程遠い…。

本来この作品で演じるなら封神演義の妲己ちゃんのような人物像にしても良いのでは?と思う(妖艶で自分の欲求の為人を惑わせて従わせる残酷な人)けれど、中嶋朋子が演じる彼女は、とても聡明で美しく、魅力的な人物に見えた。だからこそ、娘がなぜここまで母を憎むんだろう?という疑問が残ってしまったのが…残念というか…なんというか…!中嶋朋子さん自身が、めちゃくちゃいい人なんだろうな…と思ってしまいました。正直、可愛かったです!!!お母さん可愛い!!!もっとねちっこく、「私は女として男に必要とされているのよ。あんたと違ってね!」くらいの厭らしさがあっても良かったなぁ。と思いました。ただただ美しくて…。よかったです。

息子・勇(林遣都):権力者の父親を憎みながら母と妹の異常な愛に翻弄される男の子

母・妹に翻弄され続ける男の子。
妹には母を殺せと、母には父を殺せと凄まれる。自我はあるのか…!?と言いたいほどに右往左往する彼の『核』となる部分がつかみづらく、この役が一番難しい役どころだと感じました。

貴族との間には一男一女があつた。どこまで計画的にやつたことかしれないが、夫人は息子が年ごろになると、将来彼を一切自分の意のままに使ふために、われとわが子の童貞を奪つた。息子はそれ以後心ならずも母の意のままに動かざるをえぬ自分に絶望して、今度はわが実の妹と関係したのである。
— 三島由紀夫「『熱帯樹』の成り立ち」

劇中では表現されていなかったけど、上記の事があったとすれば彼の行動の筋が通る。彼は、寂しくて愛されたくて母性を求め続けたのだろうけど、本当に彼を愛してくれた人はいたのだろうか。最期何も心中しなくても…。と思ってしまいました。この役に対しては一番感情移入ができなくて解釈が難しかった…!

父・恵三郎(鶴見辰吾):息子と対立し妻の不貞を疑わぬ男

地位や名誉を手に入れ素敵な妻もいる。そんな自分の小さな脳内キングダムしか見えていない父親になれなかった男。
「あなたは御自分の家の中をさまよい歩く淋しい幽霊だ、あなたは何もかも失いながら、それを御存知ない」と言う信子のセリフがあるが、まさに。
誰からも愛されず、友もいない悲しい男性。「財産がある」でも言い換えれば「財産しかない」という事に気づいていないのだ。ただ…気づいていないから幸せなのかもしれないとも思った。多分一番悲しいけれど、一番幸せな脳内をしている人。

同居人・信子役(栗田桃子):父親の従妹で4人の家族と共に暮らす風変わりな女性

妹・郁子の看護をし続けた父親の従妹。淡々とした語り口調で一見一番まともかと思いきや、劇中で何度も郁子に言う「終わった話をしましょう。」と言う台詞はどこか背筋を冷たくさせる。彼女は死神なのだと思う。大きな鎌のかわりに、自前の毛糸玉を持って人の終わりを見届けに来ている。綺麗な歌声は、完全にギリシア神話のセイレーン。綺麗な歌声が、一家の滅亡を示唆するように効果的に使われていて美しかったです。

美しいセリフ回しであっと言う間の3時間

3時間、あっと言う間でした…。
流れるようなセリフ回しが美しくて、圧倒されているうちに終わってしまいました…。

正直、登場人物の誰にも共感ができなくて、ただただ「どうしてこうなった…」を脳内で繰り返した3時間。ストーリーは難しくはないです!予習はいらないかな?という感じ。シェイクスピアの四大悲劇とか、そういったものを観たあとのような感覚です。

でも、人物解釈がとても難しかった…。人間って色んな側面があるじゃないですか…。ある時は良い人だけど、ある時はひどく残酷な人だったりとか。郁子一人をとっても、無邪気な少女になったり、妖艶な女になったり、嫌味と嫉妬の混じった強い言葉を放つ力強い姿を見せたと思えば、己の命の短さを憂うか弱いお嬢様になる。母のような包容力で勇を迎える両手は、優しく鳥を絞め殺す。もう本当に怖すぎる…。役作りをしていて、役者さん心が分裂しそうにならないの?!と思うほど。

それが、郁子だけじゃないんだから、大変だ。たった3時間に、登場人物5人分の表と裏の顔をガンガン見せつけられる観客の気持ちになってくれ!と。心が追い付かない!

怒り・悲しみ・切なさ・情欲様々な感情を見せつけられて、かみ砕けない。呑み込めない。チャイメリカと違うモヤモヤ感。あーーー難しいーーー!!とゴロゴロしたくなるような。そんな舞台でした。ああああー難しいーーー!でも愛ってそういうものだよね。とも思います。人間って、そういうものですよね…。皆自分が一番可哀想だと思っていて、自分が一番正しいと思っていて、私を一番に愛して欲しい。なんて思ってる。

 

そんな中で…色々と考えすぎて脳みそがショートしてしまいまして

ただ、茫然と…

え、林遣都さん…凄い綺麗じゃない?

女性とならんでも引けを取らない美しさじゃない?

なに?透けてる?発光してる?…なにこの透明感…?え?なに?妖精なの…?と…

林遣都さんの美しさにただただ、目がかすんでおりました。

あんまり、林遣都さんを観に来たんだなんて贔屓する気持ちはなかったんですけど

もう、脳みそが疲れすぎて、最終的には ただ、彼が笑っていればそれでいいんじゃないかなって。思った。思ったよ。私は。もう、なんで心中するのよ!?と思ったけど、心中した事で彼が救われるならそれでいいよ。もう生きづらい世界で生きなくてもいいんだよ。と感動すら覚えた…。

凄いな。

なんだこれは?これが林遣都さんの魅力?これは、本を読んだだけでは絶対に感じない感情ですよね。林遣都さんすごいな???

勿論林遣都さんだけじゃなく!前述にも述べたように心が分裂するんじゃないかというくらいの感情を舞台上で爆発させた役者さんの表現力に本当に圧倒される舞台でした。
もう一回もっとしっかり観たい!!!と思いましたし、出来たら更に進化するであろう千秋楽付近でまた観たいと感じました。

(チケットがないので観れないのですが…)

なかなか語り合う方がいないので、みなさんの感想を観ながら、心を落ち着けたいと思います!!!!

まもちゃでした😺